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免疫機能を低下させ細胞の寿命を縮めるストレス
テロメアの長さを計測すれば、その個体の生物学的余命を予測できることになります。ところで、テロメアの長さはその個体の実時間の経過年齢とは一致せず、特に性成熟を終えた個体では差が大きく出ます。
このような差の原因の一つとして慢性的なストレスを受けている人はテロメアの短縮を早めるという実験結果があります。ストレスが免疫機能を低下させ、細胞の老化に深く関与し、その害は深刻であり、この影響は若い人にも及ぶ、ということが分かってきました。
2004年にElissa Epel博士らが発表した研究は、慢性疾患を持つ小児の母親39人と健常な小児を持つ母親19人を比較対照するものでした。主観的なストレスとしてあらかじめ定められた質問で直近の1カ月のストレスを測定し、合わせて客観的なストレスとして小児が診断を下された以降の経過年数を用いました。
その結果、慢性疾患を持つ小児の母親群では保護者としての年数が増加すると、テロメアの長さが短くなり、それを修復するテロメラーゼ(次の項で詳述)の活性も低いことが分かりました。
同様のことが主観的なストレスでも観察され、ストレススコアの高い上位14人は、ストレススコアの低かった下位14人と比較して、テロメアの長さが15%も短いという結果でした。長さからの推定では老化が9年ないし17年進んだことになるそうです。
また、慢性疾患を持つ小児の母親すべてがストレスの強いグループに入った訳ではなく、この事実はストレスを上手に低下させることが重要だと示唆しています。生物の健康にとって害となるストレスが、細胞レベルでもテロメラーゼを損ねることが実証された訳です。
「フリーラジカル説」では活性酸素などのフリーラジカルが細胞を損傷する、としますが、上記の事実は活性酸素がテロメアを短縮してしまうとも考えられます。というのも活性酸素はさまざまなストレスによって増加することが知られているからです。心身へのストレスは脳のアドレナリンという神経伝達ホルモンの分泌を活発にします。
同時に脳下垂体からは副腎皮質ホルモンが分泌され、血糖値・脈拍・血圧が上がり、ストレスに対抗する臨戦態勢が整います。呼吸数も増えて大量の酸素が体内に取り込まれます。その結果、活性酸素も増加し、細胞を傷めつけるのです。
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